2009年4月5日日曜日

片岡義男が教えてくれた

片岡義男さんの本を最初に読んだのは17歳の頃だった。
一番最初に読んだのが角川文庫の「ラジオが泣いた夜」で、なんて乾いた文を書く人なんだろうって思った。
その後は本棚が赤い背表紙で埋まった。^^;
片岡さんの文体はその後のぼくにかなり影響を与えていると思う。
文だけではない、当時自分はティーンエイジャーだったのだがライフスタイルも片岡さんから学んだ。
エスプレッソ、ドライマティニ、ステーションワゴン、バラッド、カワサキ…今ではスタンダードな単語だけど当時はあこがれだった。
そして理想の女性像まで!
17歳の頃読んだこの文を未だに強烈に覚えているんだ。長文を承知で…

 夏の午後おそくから、夕方、暗くなるまでの、自分に許されている自由の量がすこしだけ増えたように思えるあの独特の時間に、不思議とよく似合う女性というものが、世の中には、いるのだ。
笑うとき、あるいは喋るとき、左右がいびつにゆがんだりしない唇。
きれいに乾いた笑い声。
さらさらの髪。
テンポをくずさない冗談のやりとり。
これこそ、スカートという呼び名にふさわしい、と言っていいようなスカート。
歩くときまっすぐにのびるひざ。
全身にいきわたったカルシウムやレシチン。
強靭な求心力をそなえた自我。
会社で仕事をしている彼女なら、社内で最高の肺活量。ほんのちょっとトレーニングするだけで、達成可能だ。
きわめて柔軟な股関節。
眼鏡をかけると、すさまじい色気。
うまくなくてもいいから、きちんとした字。
自分に対して有効に作用している向上心。
ハートブレイクなんてへっちゃら。
煙草を吸わない。

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